任意整理する際に~奨学金を借りたい、借りている人へ~

消費者金融や信販会社、クレジット会社など複数の金融会社に多額の債務の返済を求められた際に、弁護士に仲介してもらい長期間にわたり可能な範囲で返済を行う方法が任意整理です。任意整理の利点は仲介してもらう弁護士と債権者以外の第三者に内緒で手続きを進めることができることですが、もしも奨学金の返済中に債務の整理を行う場合には注意すべき点があります。多くの場合、債務整理を利用して返済するのは無担保で保証人不要のクレジットカードやカードローン会社の負債がほとんどなので、カードを利用していた本人と金融会社以外の第三者には債務整理の事実を知られたり迷惑をかけることもありません。一方、日本学生支援機構(日本育英会)の奨学金の貸与を利用する場合には必ず親や親類などに保証人になってもらわなければなりません。一般的に保証人がいる場合に名義人(本人)が借金の返済できなくなれば、保証人が代わりに返済する義務を負わなければなりません。もしも奨学金の返済中に貸与を受けていた本人が任意整理を行って日本学生支援機構も債務整理の対象にすれば代わりに保証人が元利金の返済をしなければならなくなり、債務整理を行っていることを家族や親類に知られてしまいます。但し幸いなことに任意整理を行う際には整理対象に含める返済先を選択することができ、整理対象に含めなかった一部の債権者だけは債務整理とは別個に返済を続けることができるのです。奨学金の返済中に債務整理を行って誰にも知られたくないのであれば、あえて日本学生支援機構だけ整理の対象から外しておくことも可能です。もしも日本学生支援機構と債務整理に含めた金融会社の療法に返済を続けることが困難な場合には、日本学生支援機構で独自に設けられている返済猶予や減額返還制度を利用できます。これは一定の条件を満たせば返還を猶予してもらったり、月々の返済額を半額にして減額中の返済期間を2倍に延ばすことができるという制度です。これらの返還猶予や減額はそれぞれ最長10年間を上限に利用できることになっているので、任意整理の返済期間(最長3年)程度であれば十分カバーすることができます。奨学金を含めて保証人がいる借金の返済中に債務の整理を行う場合については、多額の借金を抱えていることを家族やその他の人に知られてしまったり、返済の肩代わりをしてもらうといった事態を避けるために注意を払う必要があるのです。


このページの先頭へ戻る